【世界の簡単手仕事】はじめてのモタンカ人形作り入門:布を巻くだけ!簡単お守り人形
簡単な手仕事で心穏やかなひとときを:ウクライナのモタンカ人形
新しい趣味を探しているものの、「難しそう」「道具を揃えるのが大変そう」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。特に仕事で忙しい日々を送っていると、始める前から億劫になってしまうこともあるかと存じます。
そんな方にご紹介したいのが、ウクライナに伝わる伝統的なお守り人形「モタンカ(motanka)」作りです。モタンカは、ハサミや針を使わず、布を手で巻き、糸で結んで作る素朴な人形です。特別な技術や高価な道具は一切不要で、ご自宅にある布のハギレや古着、使い慣れた糸だけで、誰でも簡単に作り始めることができます。
布の感触を楽しみながら、無心で布を巻いたり結んだりする時間は、日常の喧騒を忘れさせてくれる穏やかなひとときとなるでしょう。完成した時の小さな達成感もまた、心地よい気分転換につながります。
モタンカ人形とは?その魅力と文化的な背景
モタンカ人形は、ウクライナで古くから伝わる伝統的なお守り人形です。「モタンカ」という名前は、「巻く」という意味のウクライナ語「モタティ(мотати)」に由来すると言われています。
かつてウクライナの家庭では、子供の成長や家族の健康、豊作などを願って、母親や祖母が古い布を使ってモタンカ人形を作っていました。特に特徴的なのは、顔がないこと。これは、邪気が人形を通じて家に入り込むことを防ぐため、あるいは特定の個人ではなく「人形全体」がお守りとなるように、といった願いが込められているそうです。布を巻き、糸で縛るだけで形作られる素朴な姿には、その土地の文化や人々の温かさが宿っているように感じられます。
モタンカ作りが「簡単」である理由は、その製作方法にあります。針と糸で縫い合わせるのではなく、あくまで「巻く」と「結ぶ」が基本です。そのため、裁縫が苦手な方でも、まっすぐ縫えなくても、全く問題ありません。特別な道具も必要なく、身近な材料だけで始められる手軽さも、大きな魅力です。
始めるために必要なもの
モタンカ人形作りを始めるために必要な道具は、驚くほどシンプルです。
- 布: 人形の体や服になる布です。着なくなった服やシーツのハギレ、端切れなど、お好きな色や柄の布をご用意ください。綿素材など、比較的扱いやすい布がおすすめです。少量の布で十分作れます。
- 芯にする布: 人形の頭や体の芯にするための布です。古いTシャツや柔らかい布を少し多めに用意し、丸めて使えるようにします。
- 糸: 布を縛るための糸です。刺繍糸や木綿糸、麻紐など、丈夫で巻きやすいものを選びましょう。複数の色を用意すると、デザインの幅が広がります。
- ハサミ: 布を切るために使用します。
これだけあれば、モタンカ人形作りを始めることができます。もしかすると、全てご自宅にあるものかもしれません。もし買い足すとしても、布や糸は100円ショップや手芸店で手軽に入手できます。
簡単なモタンカ人形の作り方(基本ステップ)
基本的なモタンカ人形の作り方をご紹介します。本当に「巻いて結ぶだけ」の簡単な手順です。
- 頭の芯を作る: 芯にする布を適量(ゴルフボール大くらいの大きさになるように)丸めます。
- 頭を作る: 人形の顔になる布の中心に1で作った芯を置き、布で包み込みます。布の端を糸でしっかり縛り、首を作ります。この時、布がピンと張るように形を整えると綺麗に仕上がります。顔の部分には何も描きません。
- 腕を作る: 腕になる布(長方形など)を用意し、両端を内側に折り込み、さらに細長く巻いて棒状にします。これを人形の首の下あたりにあてがいます。
- 体を巻く: 体になる布(長方形など)を用意し、2で作った頭の下から腕を挟み込むようにして、下に向かって筒状にぐるぐると巻いていきます。この時、布をあまり緩まないように巻くのがポイントです。
- ウエストを縛る: 体を巻き終えたら、ウエストになる位置を糸でしっかり縛って固定します。
- スカートを作る: スカートになる布を用意し、ウエストの下から巻きつけるか、ギャザーを寄せてウエスト部分に取り付け、糸で縛ります。
- 仕上げ: 必要に応じて、頭に頭巾を巻いたり、エプロンをつけたり、糸で飾りをつけたりして完成です。
このように、布を巻いて、形を作り、糸で縛る。この単純な繰り返しで、可愛らしいモタンカ人形が生まれます。一つ完成するのにかかる時間は、慣れれば15分〜30分程度です。短い時間でも、手を動かすことで気分転換になります。
さらに楽しむには
基本的なモタンカ人形が作れるようになったら、色々なアレンジを加えてみましょう。
- 色々な布を使う: 鮮やかな色の布や、柄物の布、レースなど、様々な質感やデザインの布を使うことで、人形の雰囲気がガラリと変わります。ハギレを組み合わせるのも楽しいです。
- サイズを変える: 小さく作ってキーホルダーにしたり、大きく作って飾りにしたりと、サイズを変えることも可能です。
- 飾りをつける: ビーズやリボン、毛糸などで髪の毛をつけたり、服に刺繍糸で模様をつけたりと、自由に飾りを加えてオリジナリティあふれる人形にすることができます。
まとめ
ウクライナのモタンカ人形作りは、「何か新しいことを始めてみたいけれど、難しすぎるのはちょっと…」と感じている方にぴったりの手仕事です。特別な道具や技術は不要で、ご自宅にある身近な布と糸だけで、誰でも簡単に始めることができます。
布の温かさに触れながら手を動かす時間は、日頃の疲れを癒やし、心を落ち着かせてくれるでしょう。そして、布を巻いて結ぶだけで、素朴で愛らしい自分だけのお守り人形が完成した時の達成感は、きっとあなたの心を軽くしてくれるはずです。
まずは、お気に入りのハギレを見つけることから始めてみませんか。一歩踏み出せば、「私にもできた!」という喜びが、あなたを待っています。